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万博ラテン小ねた


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スペイン皇太子夫妻が万博にやってきた!

2005年6月2日、スペインのフェリペ皇太子とレティシア皇太子妃が、結婚後初めて日本を訪れました。フェリペ皇太子と言えば、突然の婚約発表でスペイン国民を驚かせ、しかもそのお相手がスペイン国営放送の人気ニュースキャスターで離婚歴もあるレティシアだったということで、当時たいへん話題となりました。(その辺の話はリベラルテの“気になるスペイン人”でも読めますね)盛大な結婚式からちょうど1年経ち、今回日本で、しかも万博会場でお二人に会えるということで、王室ファン(正確にはフェリペのファン)の私はとても楽しみにしていました。当初、レティシア皇太子妃はご懐妊中なのでちょっと難しいとされていましたが、めでたくお二人揃っての来日が実現しました。
   
 
  フェリペ皇太子夫妻を囲んで、スペイン館前にて堂々の記念撮影。
でっかいヒナ檀にずらっと並ぶ関係者ざっと50人。何だか楽しそうです。
   
  皇太子夫妻は、東京で公式行事を済ませた後、新幹線で名古屋に入られ、6月5日に愛知万博会場に来られました。滞在時間はたったの2時間でしたが、初来日のレティシア皇太子妃が一緒ということもあり、国内外からたくさんのプレスが詰め掛けました。スペイン館前でスタッフと一緒に記念撮影をしている映像は、スペイン国内のニュースでも流れたようです。レティシア皇太子妃は、皇居で行われた前日の晩餐会ではマタニティー姿をご披露されたそうですが、この日は普段どおりのスーツ姿でした。明るいベージュのパンツに白のジャケットですらっとシンプルに、そして鮮やかなオレンジ色のバックがひときわ目を引きました。その頃スペインの新聞では、「民間人が王室に入るとストレスから拒食症に…」とレティシア皇太子妃の“激ヤセ説”がゴシップ報道されていましたが、実際お会いした印象ではそんな様子は一切感じられず、逆にストレス関係なくても、十分痩せそうなスケジュールをこなしているじゃないと思いました。妊娠四ヶ月で安定期に入ったと言えども、日本滞在中のスケジュールも分刻みでかなりタイトでした。この日も、スペイン館前での記念撮影が終わると、次の目的地の『日本館』まで、高いヒールを履いたまま約1キロも歩いて移動しました。皇太子妃の適性というものがあるとしたら、体力・スタミナに自信アリってことも大事な要素なんでしょうね。
   
 
  とても背の高いフェリペ皇太子。人ごみから頭ひとつ抜けて、ひと際目立っておりました。
右手前のお父さんは、「よっ!大統領」と声を掛けて手を振っていました。
   
 

スペイン皇太子夫妻と関係者を含めて約30〜40名が、一般客で溢れる会場内を移動します。 さらにその前を、20名近くのプレスが撮影しながら歩いています。大所帯のカタマリが人ごみの中をゾロゾロと移動するわけで、セキュリティにかなり気を使うシーンです。ただ、そんなこちらの心配をよそに、一般客と近い距離感で移動するスタイルを楽しむ海外賓客も多く、フェリペ皇太子夫妻もまんざらでもないご様子。ご夫妻やお付の方は、終始和やかにお喋りしながら歩いていますが、先頭を行く“王室警備隊”やその周辺では、テロ行為の警戒などピリピリ緊迫したムードが漂い、当然笑顔など一切ありません。当初「プレスは皇太子夫妻との距離を15メートル保つこと」というルールが取り決められていました。でも実際は、お二人の前に立ちふさがる約束破りのカメラマンが多数出現。彼らもお仕事ですから必死です。そんな入れかわり立ちかわり現れるカメラマンを、ヤブ蚊を追い払うがごとく、手際よくはじっこに追いやりながら、皇太子夫妻がお通りする道をズンズン切り開いて行く “王室警備隊”は、さながら水戸黄門の助さん格さんのようでした。

   
 
  護衛に囲まれながら、会場内をさっそうと移動するフェリペ軍団。
左のジーパンさんのように、行く手を邪魔するプレスは、怖いお兄さんに蹴散らかされます。
   
  2時間の万博滞在を終え、フェリペ皇太子夫妻は、スペイン館のスタッフや同行された高円宮妃殿下に見送られ会場を後にしました。そして再び東京に戻り、皇太子殿下夫妻との晩餐会に出席されましたが、スペインの新聞によると、身重のレティシア皇太子妃のために、雅子さまが特別なレシピをご用意したそうです。いったいどんなお料理だったのでしょうね?そして、晩餐会が終わると、そのまま成田に向かい専用機で帰国されました。本当にお疲れさまでした、とねぎらいを申し上げる立場ではないけれど、ホントそんな気分です。そう言えば、オランダのマキシマ皇太子妃も大きなお腹をかかえて万博に来られましたが、この6月に無事元気な第二子を出産されました。レティシア皇太子妃は来月早々出産の予定ですが、身重の体で日本まで来て、あのハードスケジュールをこなせたのだから、きっと丈夫な赤ちゃんが産まれてくることと願っております。
   
 
  ギャラリーに見守られながら、スタッフにお別れの挨拶をするフェリペ皇太子夫妻。
待機中のお迎えの車の前では、早く乗ってくれないかなって顔の男が約2名。
   
 

今回のフェリペ皇太子夫妻の来日に先立って、スペイン王宮関係者が万博会場の下見に来られた際、長い打ち合わせの後、彼らと一緒に食事をする機会がありました。皇太子夫妻による視察行事を担うスタッフ同士として、次第に打ち解けあってきたこともあり、その王宮関係者の一人に、彼が付けていた“王宮バッジ”と、私の“モリゾーキッコロバッジ”(笑)を交換しないかとダメモトで申し出たところ、「本番を迎えた、その日に交換しよう」という意外な返事が。でも、まぁそんな約束なんてどうせ覚えていないだろうと、過剰に期待することもなく日々は流れ本番を迎えました。当日は、職務に奔走するあまり、バッジのことなどすっかり忘れていましたが、いよいよ皇太子ご一行が会場を出られお帰りになるのをお見送りしている時、件の王宮関係者の方が私を見つけて歩み寄り、私のジャケットに約束どおり“王宮バッジ”を付けてくれました。私も急いで“モリコロバッジ”を外して渡したら、待機していた車に乗り込んでそのまま帰って行かれました。その瞬間、お互い言葉はほとんど交わしませんでしたが、「お疲れさま」というメッセージを交換し合ったような、そんな気がしました。皇太子夫妻の万博訪問はたったの2時間だけでしたが、スペインの王宮関係者も、私たち日本人スタッフも、この日のために何日も前から多くの時間と労力を費やし準備してきました。このバッジは、そんな日本人への王宮からの“ご褒美”だと思って、大事に保管しています。

   
 
  ご褒美のバッジ。ちょっとゴージャス風に撮影。
でも、これがどれほどの王宮バッジなのかは、誰もいざ知らず。

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