14歳で下働き、27歳で店をオープン
アマンシオ・オルテガ・ガオナは1936年3月28日スペイン北部のレオン市で、鉄道作業員の父親と家政婦の母親との間に5人兄弟の末っ子として生まれる。市民戦争後、父親の転勤で一家はコルーニャ市に引っ越し、サン・クリストバル駅に隣接した小さな社員宿舎で過ごす。
13歳の時から地元の縫製店「GALA」で下働きを始め、その後合併して「MAJA」となった手芸店の販売員として勤務。同じ職場には兄弟のアントニオとペピータ、最初の妻(1986年離婚)となるロサリオ・メラ・ゴジェネアがいた。後にアマンシオは、妻、兄弟と共に「MAJA」を退社し、1963年、部屋着と下着店「GOA
Confecciones」を立ち上げた。ここでオルテガ一家は、1店舗で生産から物流、販売の全てをまかなうシステムを初めて導入し、低コスト化に成功したのだった。ちなみに社名の一部「GOA」は、一家の名字Ortega
Gaonaから付けたもの。
世界46ヶ国を制覇する「巨大ザラ帝国」の誕生
1975年、「ザラ」1号店がコルーニャ市にオープン。当時、セーターを1枚わずか500ペセタ(2650円)《*注1》という安さで販売していたため、噂を聞きつけた隣町の大学生がわざわざ買いに来ていたという。1号店オープンから10年後の1985年、「ザラ」の店舗数はスペイン国内で38店舗に到達、同年、「ザラ」の企画、生産、物流、販売まで総括した企業「インディテクス」(Inditex)が設立された。1988年、ついに「ザラ」の海外1号店がポルトガルにオープン。その後フランス、アメリカ、メキシコ、サウジアラビア、日本に進出し、その勢いは止まることはなかった。そして「ザラ」創業から28年経った2003年、その勢力は世界46ヶ国に531店舗を誇るまでに達し、「巨大ザラ帝国」が誕生したのだった。
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